
ディレクターという職業を理解する前に
会社は売上を作らなければならないため、製品・サービスを作るだけでなく、 多くの人に知ってもい興味を引くための活動を行います。 例えば、プレゼントするグッズを配るためのイベントをやろうと考え、広告やホームページを作り宣伝をしよう…といった具合に、 売上を上げるための企画を計画して実行するのです。
その実行される計画のことをプロジェクトと呼びます。 みなさんの日常でも、キャンプに行こう、デートに行こう、料理を作ろう、と計画することも小さなプロジェクトといえるでしょう。
会社における、売上や利益を作るためのプロジェクトのことはプロモーション活動と呼びます。 他にも会社のプロジェクトとしては「新しい製品を作ろう」「新しい決まりごとを作ろう」といったものもあるでしょう。
プロジェクトにおけるディレクターの役割
プロジェクト(プロモーション活動)を行うにあたっては必要な役割(役職)というものがあり、数人で得意な分野ごとに作業にあたります。 なぜなら料理やデートと違って、会社で行うプロジェクトというものは規模が大きいため個人の能力を超えた作業の範囲があるからです。
料理であれば「材料を買う」「切る」「煮る・焼く」「盛り付ける」といった作業の範囲があり、ひとりで受け持ったとしてもなんとかできそうです。 しかし、より美味しそうな料理を作りたいときは「私は盛り付けは上手くないから、他の人に手伝ってもらおう」と2人で協力し、 作業範囲ごとに役割を分担すれば実現できるでしょう。
では、会社のプロジェクト(プロモーション活動)ではどのような役割があるでしょうか?
たとえばこのような登場人物と役割が考えられます。
すごく偉い人
(社長、役員など = プロジェクト オーナー)
全体のまとめ役
(部長など = プロジェクト マネージャー)
作る人のまとめ役
(専門家 = ディレクター)
作業する人たち
(デザイナー、コードライターなど = オペレーター)
オーナーとマネージャーは同じ会社で、ディレクターとオペレーターが同じ会社というパターンが一般的ですが、全員同じ会社だったり、オペレーターだけ別の会社の人だったりと、
様々なパターンも考えられます。
会社のプロジェクトは複雑なので、わかりやすいようにプロジェクトのスタートからゴールまでを
「料理」で例えてみましょう。

オーナー |
カルボナーラが食べたいので作ってください。お金は出します。 |
↓ | |
マネージャー |
オーナーは今回はカジュアルなカルボナーラが食べたいようです。 予算2,000円で、期限はいまから3時間後に持ってきてください。 |
ディレクター |
わかりました。 |
↓ | |
ディレクター |
みなさんカルボナーラを作りましょう。 生クリームと塩を多めで。 中級〜高級クラスの材料を1,500円以内でそろえて、 2時間後に味見させてください。 |
オペレーター |
材料をそろえて、作りました。生クリームと塩の加減を試食してください。 盛り付けはこんな感じで良い? |
↓ | |
ディレクター |
オペレーターさんありがとうございます。 マネージャーさんこんな感じでどうでしょうか? |
マネージャー |
良いと思います。もう少し塩気を控えてもらっても良いですか? |
ディレクター |
わかりました。ただ、塩気が減ると味がボケるので 卵黄を多めにしてもいいですか? |
マネージャー |
卵黄多めは良さそうですね。ではお願いします。 |
↓ | |
ディレクター |
マネージャーさんわかりました。 オペレーターさん塩を1.2g減らし、卵黄を3.4g多めにして 12分後に試食をもってきてください。 |
オペレーター |
わかりました。出来上がったので試食お願いします。 |
↓ | |
ディレクター |
マネージャーさん改良したものはどうでしょうか? |
マネージャー |
良いと思います。期限前の2時間55分ですね。 これでオーナーに渡します。ありがとうございました。 |
↓ | |
オーナー |
美味っ! |
- プロジェクトオーナーがやりたいことをプロジェクトマネージャーがまとめる。
- プロジェクトマネージャーがディレクターにプロジェクトの要件を伝える。
- ディレクターがオペレーターに指示をして作ってもらう。
- オペレーターは指示通りに作りディレクターに戻す。
- ディレクターはプロジェクトマネージャーに確認を取る。
- 問題なければ納品して完了。
2. オペレーターに対して「塩1.2g」といったように具体的に指示している。
つまりディレクターとは、プロジェクトを進めていくにあたり、 主に制作側に寄った立ち位置で良い制作物を作るために存在しているということです。 ですので制作ディレクターと呼ばれることもあります。
良いディレクターの条件
また、プロジェクトは事故なく無事にゴール(着地)することを目指さなければなりません。
ディレクターの役割は、例えば悪天候の中でも安全に乗客を空港まで届ける飛行機のパイロット、
華麗に事件を解決する名探偵のように、問題発生時も「経験に基づく提案と、具体的な指示出し」
の能力を使ってスムーズにプロジェクトを完了できるディレクター、が良いディレクターとなります。
ですので、ディレクターという職種はオペレーターとしての「経験」が無ければ成立できないと言って良いでしょう。
オペレーターの経験が少ない状態でディレクターの役職を任された場合は、プロジェクトの目的が達成できるように「スケジュール」「予算」に気をつけながら
マネージャーやオペレーターとよく話をし、進めていきましょう。
良い制作物ができなかった場合ということを考えると、ディレクターの役割がより想像できます。
オペレーターに対する指示が杜撰やお粗末だったり、
マネージャーに言われたことを言葉の通りにしかできないディレクターがいたとすれば、良い制作物にはならないでしょう。
そのようなディレクターの場合、問題が起きたときにオペレーターにしわ寄せがきたり、マネージャーも細かい指示が必要になるなど、
不満が出てしまいプロジェクトが上手く終わらない(事故・炎上)ことがあります。